海之まりん的日常

魔女は夜ささやく(上)(下)







ロバート・R・マキャモン 二宮 磬 / 文藝春秋

とにかく、疲れた……。
メンタルもフィジカルも……。
とにかく、自分をリセットしなくっちゃ。
こんな時は、読書がいちばん。
というわけで、図書館に行ってみました。
図書館の雰囲気は好きです。ぼーっとしながら本の背表紙をだらだらと見ながら、ふと気になった本を手に取ってみるのが、まりん的図書館の楽しみ。そんな時は、まりんがその本を選んだというよりは、書棚の中からその本のほうがまりんを呼んでいるという心地がするものです。
この本も、まりんを呼んだ一冊……。

タイトルのとおり、魔女狩りのお話。
時は1699年。場所は南部アメリカ。
ファウント・ロイヤルという新興の町で、魔女が現れ、その魔女の裁判のために隣町のチャールズ・タウンからやってくるのですが、この判事の書記・マシュー(二十歳)が本編の主人公です。
マシューは幼いころに両親と死に別れ、孤児院で育ちました。しかし、たいそう頭がよかったため、判事の書記となることができたのです。
ファウント・ロイヤルに着いた判事・ウッドワードとマシューは、レイチェル・ハワースがなぜ『魔女』と呼ばれることとなったのか調査を始めました。
レイチェルは悪魔と交わり、悪魔に示唆されるがまま、町の司祭と、自分の夫を殺したとされ、牢に幽閉されています。
人々の証言はどれもレイチェルがまちがいなく魔女であることを裏付けるようなものばかり。
しかし、マシューは、その証言を聞きながら、一つの疑いをいだくに至るのです。
もしかしたら、レイチェルは魔女ではないのではないか? 司祭とレイチェルの夫を殺した誰かが、レイチェルに罪をかぶせようとしているのではないか……。
そんな時、また新たな事件が起こり……。

という感じで、マシューが真犯人を探し出していく筋立てとなっておりまして、ホラーというよりはミステリー仕立てのお話です。
ファウント・ロイヤルの住人はいずれも個性派ぞろい。
最初はどの人も怪しく見えてきますが、次第に住人の過去が暴かれ、最後にちゃんと犯人にどりつく筋書きはなかなか楽しめました。
その傍らで、無実の女性に『魔女』との汚名を着せ、彼女を追い詰めていく町の人たちの無意識の悪意がけっこうおそろしいです。
もちろん、それがいけないことだとわかっている人たちもいるのですが、そういう人たちは真実を口にすることによって蒙るであろう自身の被害を思い、みな、町を出て行ってしまう。
レイチェルの味方はどこにもいません。
こういった、いわゆるいじめの構図がうまく描かれていて、「うわーっ」と脅かされることはなくても、じわじわと真綿で首を絞められるような息苦しい恐怖が伝わってきます。こういうところは、やはり、ホラー作家だなぁ、と思わされました。
こう書くと怖いお話なのかなと思われてしまうかもしれませんが、マシューの手によって事件はきれいに解決されていきますし、読後感はさわやかです。
魔女と言われたレイチェルの潔さも、判事・ウッドワードとマシューの、親子にも似ていながら、そうとは割り切れない複雑な関係も見所の一つ。
ファウント・ロイヤルの創設者・ビドウェルは、ごうつくばりですが、それでいて、けっこうたくましいし、また、ビドウェルの家の家政婦・ネトルズ夫人の強いこと!(笑)
訳も読みやすくて、二段組上下二冊の長編でも、さほど苦労することなく一気に読めました。
ヴィジュアルに訴える部分の多いお話でしたし、映画で見たい気もします。
それにしても……。
1700年ごろのアメリカって(いや、アメリカだけじゃないだろうが)、すんごい不潔だったんだなぁ。
悪臭漂う描写が多くて、そこのところは、ちょっと閉口しちゃいましたよ(苦笑)。ネズミにかじられる等、グログロなシーンも多いです。
やっぱり、繊細な神経の方にはおすすめできない一作かも……。
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by marine-umino | 2005-09-12 18:58 | 最近読んだ本
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