海之まりん的日常

コンタクト・ゾーン

コンタクト・ゾーン
篠田 節子 / 毎日新聞社
ISBN : 4620106690

外務省のノンキャり・真央子、大病院令嬢の祝子、妻子ある男性と不倫中のありさの三人は、共に三十代後半の友人同士。三人は、バカンスとショッピングのため、テオマバルのバヤン島へ出かける。
折りしも、テオマバルでは政情不安が訴えられていた。バヤン島では、クーデターが起き、三人が泊まっていたホテルでも宿泊客が惨殺されるという事件がおきてしまう。
バヤン島が危険なことを知りながら、安易な考えで旅行を決行をした彼女たちは、島からの脱出を試みる。
しかし、たどりついたのは、バヤン島の奥地の農村テンバヤン村。
心あたたかなテンバヤン村の人たちにかくまわれ、彼女たちはクーデター軍から身を隠し、生き延びようとするが、村の暮らしになじむうちに、やがて癒され、満たされていく自分を感じ始めて……。

509ページあります。二段組です。長いです。
でも、あとから、あとから、いろんな事件が起きてハラハラさせられて、長さを感じず、一気に読むことができました。
まりんの場合、寝る前に、ちょっと読もうかな、なんて思ったのが運のツキ。そのまま、朝までかかって一気読みしてしまいました……(翌日、眠くてつらかったです)。
三十代後半の、いってみればオバちゃん三人組のサバイバルは、そこここに谷と山があって、読者を飽きさせません。いったい、この先どうなるんだろう?って、胸をドキドキさせてくれます。
祝子は何をやってもそこそここなせてしまうお陰で自分が何をしていいのかわからなかったし、ありさは太っていて醜いと自分を恥じていた。真央子は真央子で男社会で生きていくことの難しさに疲弊している。そんな彼女たちの悩みは、日本の多くの女性がかかえているものと共通なのではないかと思います。
自分にも何か人のためにしてあげられることがあるんだとわかって、それによって満たされていく祝子。太っていることが美しいとされているテンバヤン村で愛されるありさ。
実は、女性の夢が詰まっているロマンティックな一編でもありますね。

舞台となったテオマバルは、実在しない国らしいです。マレーシアあたりがモデルなのかな、とも思いながら読みました。
三人をかくまってくれるテンバヤン村は、天国のようなところですね。日本には、まず、こんなところはないでしょう。
都会暮らしの三人が、田舎の生活に苦しみながらも癒されていくっていうのは、わからないでもない。でも、田舎者から見ると、そんなに簡単じゃないんじゃない?って気もします。
都会の人は、田舎の人は純朴で親切だと思ってるかもしれないけど、それはお客さんに対してだけです。『お客さん』でなくなってみなければ、田舎に住む、つらさ、息苦しさはわからないのではないかと思うので。
それに、前半、あれだけ身勝手で傲慢だったこの三人が、そんなに掌を返したようにいい人になっちゃうのも、どうかなぁ、と……。そりゃあ、まあ、たくさんの人が目の前で殺され、自分自身も何度も死にそうになりながらここまで生き延びてきたので、人生観が変わるってことは、当然、ありうるのでしょうが、その変化が、ちょこっといきなりだったのではないかと思いました。
あと、冒頭の一生のみ、ツアーコンダクターの工藤という男の人の視点で物語が描かれています。
彼女たちにはわからないバヤン島の情勢を説明したり、彼女たちがいかに傲慢であるかを強調したりするためにこういう構成をとられたのかもしれませんが、少々違和感がある気がしました。最初から彼女たちの視点でストーリーを語っていっても、一向に支障のない内容だったと思います。のちに、工藤さんや現地ガイドのアリがどこかで出てきてそれなりの役割を果たすのかとも思ったけど、それもなかったし。
だいたい、工藤さんが過去にエミリオという男の人とつきあってたことなんてストーリーには関係ないじゃん? しかも、彼とエッチしようとして、できなかったエピソードまで入れるか?
そう思うと、さては、このエミリオとのロマンスを書きたかっただけなんじゃないか??? などという疑いさえ、頭をよぎってしまうのでありました。
結局、女って、どこか腐女子なものなのかもしれません。
うーん……。
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by marine-umino | 2004-09-29 18:55 | 最近読んだ本
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