九月が永遠に続けば
九月が永遠に続けば
沼田 まほかる / 新潮社 第5回ホラーサスペンス大賞受賞作品。 あらすじは……。 40代の主婦『私』は、夫と離婚し、18歳の息子・文彦とふたり暮らし。元夫の再婚相手・亜沙実の娘・冬子のボーイフレンド・犀田と密会を続けている。 ある日、文彦が突然失踪した。続けて、犀田が謎の事故死を遂げる。 文彦の失踪が犀田の死と関係があるのではないかと思った『私』は、必死に文彦を探し続けるが……。 なんか、腑に落ちない一作でした。 特に、文彦の失踪の理由が。 この展開はちょっと唐突過ぎるような気がするんですよね。 たぶん、作者の方は読者を驚かせたくて最後までこの展開を予想できないよう文章を書かれたのでしょうが、伏線もなんにもなくいきなりたどりついた結果だったので、逆に、肩透かしをくらったような気になりました。 エロティシズムを追求したわけでもなく、かといって、エロティシズムに翻弄される人間の狂気を描いているとも言えない。じゃあ、ミステリとしてどうかというと、謎解きというほどのものもない。 亜沙実が魔性の女なのはともかく、彼女自身がその魔性を疎んじているのか、それとも、彼女の魂そのものが魔性だったのか、よくわからなかったし、冬子ちゃんの扱いも、あれでは、あまりにもかわいそう。 結局、魔性の女に振り回される男のバカさかげんだけが印象に残ってしまう一冊でした。 あと、これ、ホラーサスペンス大賞受賞作らしいのですが、全然ホラーではありません。 ただ、無力な『私』が現実に流されていくお話、かなぁ。 とりあえず、最後にほんの少しだけ救いがあったことにはほっとしました。
by marine-umino
| 2006-01-03 19:35
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