海之まりん的日常

13階段

13階段
高野 和明 / 講談社

傷害致死により二年間の服役を終え仮出所した三上純一は、刑務官の南郷からある仕事の手伝いをしないかと誘われる。
その仕事とは、死刑囚、樹原亮の冤罪を証明し、彼を救い出すこと。
自分が起こした事件の損害賠償で家族が困窮していることに心を痛めていた純一は、莫大な報酬を得られることを知り、戸惑いながらも南郷の申し出を受け入れる。
ふたりが向かったのは、千葉県中湊郡。
だが、樹原亮が殺人事件を犯したという10年前のまさにその日、純一も中湊にいたのである……。

っちゅーカンジのお話。
元々は脚本家でいらっしゃるそうなので書き慣れていらっしゃるせいか大変読みやすいですし、樹原亮の事件と純一の事件が巧妙に入り組んで、最後には一つの結末へと収束していくその手際に拍手です。
また、刑務所内や死刑のシーンなどの臨場感もすばらしく、取材力にも優れた作者さんだと感じました。
一部、ちょっとできすぎかなー、と思う箇所もないのではないのですが、スルーしてもいいよ、って気分になっちゃうのは、たぶん、軽妙な語り口に乗せられてしまうせいでしょう。
作者の方は、たくさん読者を楽しませたいと思っていらっしゃるのかもしれませんね。
それは、『職人で結構』という岡本喜八監督の言葉を引用していらっしゃるところからも推測できます。
法の名の下に人の生命を奪った自分を許せずにいる南郷と、自身が犯した殺人事件に罪悪感をいだきながらも、その罪悪感のベクトルに揺れる純一。
この年齢の違うふたりの男の心が微妙に交錯する中で、人が人を裁くことの重さ、難しさなども考えさせてくれる、大変面白い一冊です。
この作者の方が書かれたほかのお話も読んでみたくなりました。
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by marine-umino | 2006-01-04 14:12 | 最近読んだ本
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