黄泉津比良坂、暗夜行路
黄泉津比良坂、暗夜行路
藤木 稟 / 徳間書店 この本、『よもつひらさか、あんやのみちゆき』と読むらしいです。 あらすじは……。 沙々羅は女学校の教師。 忌まわしい事件により家族を失い、親戚に引き取られ健やかに成長したが、再び、惨劇の起こった館へと戻ることとなる。 沙々羅の生家は、奈良県の山中に、古より続く旧家・天守家。 沙々羅が帰るのを待ちわびていたかのように、天守家では、鳴るはずのない『不鳴鐘』が鳴り響き、次々と殺人事件が起こる。 困惑した、天守家の執事・十和助は東京から探偵を呼び寄せた。 探偵の名は、朱雀十五。 盲目にして白皙の美青年探偵・朱雀十五が、助手の律子と共に、天守家の謎に挑む。 というところでしょうか。 しまったことに、これ、『黄泉津比良坂、血祭りの館』というのの続編でした。 知らないで後編から読んじゃったよ……。 たぶん、前回の事件と今回の事件は一応独立している印象でしたので、何がなんだか全くわかんないということはなかったと思いますが、やはり、キャラクターの把握は今ひとつしにくかったみたい。 特に、朱雀十五。 せっかくの、性格の悪い美青年だったのにー。しかも、吉原の裏社会を牛耳っているとかいうおいしい設定なのにー。 これ一冊だけ読むと、その魅力があんまり伝わってこないんですよねー。 この作者の方が書かれたほかの本を読んだことがないため、前作で、十五の魅力はたっぷり語り尽くしたので作者の方が控えられたのか、それとも、元々こういうキャラクターの描き方をされる方なのかはよくわからないのですが、すんごいもったいないことをしてしまった気分でした。 どうやら、十五の助手役の律子も別のお話で事件を起こしているようですし、ちゃんと把握するためには、シリーズを全作読み込むしかないってことなのかもしれません。 お話のほうは、いわゆる館モノとかいうタイプのお話だそうで、禍々しい仕掛けをたくさん施された洋館の中で、どんどん殺人事件が起こって、死体が量産されていきます。 館の不思議な造り、不鳴鐘、モーツァルトの魔笛、天守家の謎、など、オカルトの香り漂うガジェットがこれでもかと詰め込まれた一作で、こういう仕掛け大好きな方にはたまらないのではないかと思いますが……。 まりん的には……、あー、なんと申しましょうか、この豪華絢爛かつ精緻な舞台設定だけで、もうお腹いっぱいというカンジ。 細かい設定を追うのに頭を使ってしまって、肝心の人間関係や人の心の綾の部分を類推する余裕が残らず、ストーリーを心行くまで楽しむことができなかったような気がします。 これって、やっぱ、あたしがアタマ悪いってことなんですかね(涙)。 ま、まりんのアタマのことはともかく、レトロでおどろおどろしい雰囲気が好きで、設定マニアの方にはおすすめできる一冊ではないかと思いました。
by marine-umino
| 2006-01-09 17:45
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