海之まりん的日常

孤島の鬼

 江戸川 乱歩作。
 丸の内の貿易会社に勤務する美貌の青年・蓑浦は、同じ職場に勤めるタイピスト・木崎初代と恋に落ち、結婚の約束をする。初代は、幼いころ、現在の養母に拾われ、実の父母を知らないという。彼女が手にしていたのは、古びた系図が一枚きり。来歴も定かではないそれを、結婚の約束のしるしとして、蓑浦は初代から預かるが、当の初代が密室で殺されてしまった。
 悲嘆にくれる蓑浦は、友人の深山木幸吉に、初代を殺害した犯人を探し出すよう依頼したものの、その深山木も、衆人の監視する夏の海辺で変死を遂げる。
 おそろしい犯人は、もしや、あの人ではあるまいか。
 そう思った蓑浦は、学生時代の先輩で、なぜか初代に求婚していた諸戸道雄を訪ねる。諸戸は、同性でありながら、以前から蓑浦に対して思いを寄せていた。嫉妬のあまり、蓑浦の恋人である初代を殺害してもおかしくはない。しかし、諸戸は、自身の潔白を主張し、なおかつ、事件の解明のために力を貸すと言う。
 事件の謎を追い、諸戸の故郷へと旅立つ蓑浦と諸戸。その孤島で、ふたりを待ち受けていたのは、おそるべき真実だった……。

 携帯用ボーイズラブ小説配信サイト『ローズティ』さんのメルマガで紹介されていて、読みたくなったので、図書館で借りてきました。
 まりんが借りてきたのは1969年に講談社より発行された江戸川乱歩全集3です。
 『木馬は廻る』『陰獣』『芋虫』『孤島の鬼』『蜘蛛男』の五編が収録されていますが、この本、すごいんですよ。
 編集委員が、松本清張、三島由紀夫、中島河太郎の三人。海音寺潮五郎、福永武彦、などという方々も乱歩についての文章を寄せていらっしゃいます。
 なんだか、そのお名前だけで、ずっしり、と本が重くなるようですね。
ちなみに、

江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼
江戸川 乱歩 / 光文社


孤島の鬼
江戸川 乱歩 / 東京創元社
ISBN : 4488401015


孤島の鬼
江戸川 乱歩 / 講談社


孤島の鬼
江戸川 乱歩 / 春陽堂書店


孤島の鬼
江戸川 乱歩 / 角川書店


の五冊が現在入手可能のようですが、まりんの家の近所の本屋さんには、残念ながら売っていませんでした。

 何はさておき、諸戸先輩の純情っぷりがかわいいのです。
 蓑浦くんのことが大好きなんだけど、激情に任せて突っ走って、蓑浦くんにきらわれたくない。だから、珍しい虫を見つけた子供のように、おそるおそる触れては、さっと離れ、そして、あとは遠巻きに見詰めるだけ。
 諸戸先輩、顔はいいし、背も高いし、頭もいいし、ほんと、イケメンなんですけどねぇ。
 なのに、蓑浦くんLOVEのあまり、腰引けまくり。
 情けないと思う一方で、諸戸先輩のそういう臆病さが、いつしかいとしくなるのでありました。
 あの夜……そう、神田の初音館で、17歳の蓑浦くんの右手を捉えて、諸戸先輩が「あつい手だね」と言ったあの夜ですよ。そのあとの一行空白の間に、いったい、何があったのか、私は是非知りたい(笑)。
 しかし、 蓑浦くんも蓑浦くんです。自分が甘えたいときには、諸戸先輩に散々甘えまくるくせに、いざとなると、逃げ出してしまう。なんだか、諸戸先輩をわざとその気にさせて(本人に自覚はないようだが)、じらしているみたい。
 蓑浦くん。きみって、ほんと、小悪魔だよう。
 諸戸先輩に気持ちを貢がせるだけ貢がせておいて、自分は、あっさり、女の子に一目ぼれ、なんだもんなぁ。
 諸戸先輩、かわいそう。一回くらい、やらせてあげればよかったのにー。

 いや、まあ、そういう腐女子的意見はさておき。
 大変、おどろおどろしいお話でした。ロマンスあり、冒険あり、推理ありで、いろいろ楽しいこともてんこ盛りではあるのですが、かなり猟奇的で、そこはかとない後味の悪さが漂っています。
 おそらく、というか、絶対、映像化はできないでしょう。現代の倫理には適応しないお話だと思いました。とにかく、差別用語の嵐なのです。1969年当時は、さほど問題にもならなかったのかもしれませんが、今は使えない言葉が山ほど……。
 これ、現在出版されている本ではどうなっているんだろう? 興味があります。
 本来、作家は何度も推敲を重ねて、「これでOK」というものを決定原稿にするわけですから、一度出版されて世に出てしまったものを、作家でない人がその人たちの都合によって簡単に書き換えてよいものかどうか……。
 また、昨今、いろいろと厳しくなっている差別用語。これにしたって、言葉を使用禁止にしたところで、差別する気持ちが残ってしまえば、それではなんの解決にもならないような気もします。もちろん、この作中には、身体の不自由な人は気持ちまでゆがんでいる的発言もありまして、こういうのは「おいおい」という感じなのですが。
 まあ、この、せつなさ、やるせなさ、いやらしさ、もどかしさを、ほんのり中和してくれているのが、蓑浦くんの、一種独特な軽さなのかもしれませんけどね。これで、蓑浦くんが、ああいうぽやぽやな人でなかったら、諸戸先輩があのようにいとしき人でなかったら、このお話は、救いようがなく残酷なままで終わっていたのかもしれません。
 でも、蓑浦くん、『金之助』らしいんですよね。
 美青年なのに、金之助……。
 まあ、いいけど。
 あと、世間が狭いお話だったかな。

 そういえば、身体の不自由な人といえば……。
 パラリンピック、終わってしまいましたね。
 オリンピックのほうは、各局、あれだけうるさいほど放映していたのに、パラリンピックはNHKでちょびっとダイジェストやってただけ。
 なぜ??? メダルだっていっぱい取ったのに。
 なんにしても、がんばってる人っていうのはそれだけで美しいので、もっともっと見たかったのになぁ。なんか、残念。
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by marine-umino | 2004-10-03 01:57 | 最近読んだ本
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