黄泉がえり
黄泉がえり
梶尾 真治 / 新潮社 ISBN : 410149004X 文庫版 黄泉がえり 梶尾 真治 / 新潮社 ISBN : 410440201X で、こっちがハードカバー (なんで、こういう表紙なのかと思ったけど、本文読んだら理由がわかりました。赤と黒ね。なるほど) それは宇宙空間を漂っていた。ただ、蓄えたエネルギーを吐き出し、宇宙を漂流し、エネルギーがなくなったら、また、エネルギーを蓄える。それだけの存在だった。 いつものように、宇宙を漂流しエネルギーを使い果たしたそれは、いつものようにエネルギーを得るべく、ある一つの惑星に降り立った。 ただ、一つ、いつもと違っていたのは、その惑星には、惑星の上を自由に動き回る無数の生命体が存在していたこと。 それは、その生命体に興味をいだき始める。 時を同じくして、それの降り立った場所……熊本で、死んだはずの人間が次々と生き返るという現象が起きて……。 今さらっス。今さら過ぎるっス。 ごめんなさい。梶尾さん。 作者プロフィールに『寡作』などと書かれる梶尾さんの本すら、まともに追いきれないあたしって……(涙)。 いやね、一応、映画は見たんですよ。それも公開初日にまりんママと一緒に(で、翌日、ママが入院して、あげく手術した。忘れられない思い出です……)。 クサナギくんもなかなかいい味出してたし、それなりにロマンティックな仕上がりの映画でした。 観客動員数もけっこうなものだと聞いていたので、これでカジシンさんも、ほんとのメジャーね、SF会というちょこっと(ちょこっとか?)マイナーなジャンルでは、既にスーパー・メジャーと言っていいカジシンさんだったけど、これで、より多くの皆さんの知るところになるのね、とカジシンファンとしては、うれしいような淋しいような、ちょっと複雑な気持ちを味わっていたのですが……。 でも、思ったより、梶尾さん自身が騒がれることなかったね(ううっ。ごめんなさい)。 なんでかなぁ、と思ってたんだけど、原作読んで理由がちょっとわかったかも……。 映画はロマンティックな恋愛ドラマに仕上がってました。トリックもうまく使ってあったし(まりん、ちっとも気づかなかったよ)、黄泉がえってきた人たちの描写もわかりやすかった。これは映像の勝利ってヤツでしょう。 いろいろと説明不足で腑に落ちないところはあったものの、せつなさを楽しめる一作だったと思います。 梶尾さんは、こういうお話も書かれる人なので、まりんは、ずっと、原作もそうなんだろうと思っていたんだけど……。 全然違うじゃん。 映画は、死んだ人が生き返るっていうアイディアと、熊本っていう土地柄を利用して、原作を再構築したようなお話でした。 原作は、映画から想像していたのより、ずっと、ずっと、SFなんだよね。 テーマは、むしろ、異文明との遭遇っていう、SFでは普遍的なものであったような気がします。 あー、これだと、映画見て原作買った人は、ちょっと違うって思っちゃうかなぁ。 そういう人が期待したような恋愛ドラマじゃないもん。 まりん的には、思ってたよりSFで、映画ではわかんなかったところもちゃんと説明してあったので、さすがカジシンさんと思ったんだけど。 ま、映画は映画、原作は原作。別物だと割り切るのがいいかと思います。 大変読みやすいですし、梶尾さんらしい、やわらかな叙情感あふれる一冊です。 読んだあと、ちょっとだけ人にやさしくなれそうな自分を発見できるかも。
by marine-umino
| 2004-11-14 23:01
| 最近読んだ本
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||